オリンピックマラソン

数週間前から東京オリンピックのマラソンコースが東京から札幌に変更になるというので大騒ぎになっていた。結局、数日前に札幌で開催されることが正式決定されこの騒ぎは決着したが、いまだに多くの問題が残っていて最終的に落ち着くにはまだ 暫く時間が必要だと思う。そもそも東京オリンピックまであと一年を切った段階で急遽札幌への変更が考えられたのはドーハでの陸上世界選手権でマラソンにおいて棄権者が続出してしまい 、それにビビったＩＯＣのバッハ会長が慌てふためいて急遽決断したというのが真相のようだ。

ただ不思議なのはこのドーハでの世界陸上マラソンが行われた後で、バッハ会長は小池知事に対して東京のオリンピックへの準備は最高の水準だと絶賛のコメントを発信している。その数日後にこの決定だから不可思議だし小池知事 初め東京都側が納得できるはずもない。小池知事は散々抵抗して一時は訴訟まで考えたようだが、ＩＯＣの力の前に屈して渋々札幌案を了承したようだ。これに対してテレビのコメンテーターや評論家などは小池知事を非難するような意見が多かったが、これについては私はそうではないと思う。

一般的にも森オリンピック組織委員会長や橋本聖子五輪担当相の如く、どうせＩＯＣには敵わないのだから盾突くようなことをせず、ＩＯＣの提示してきた札幌案を大人しく受け入れたほうが良いとの意見 が多いようだったが私にはこの考えには賛成しかねる。これは今までの日本的な長い物には巻かれろ的で日本では受け入れやすいかもしれないが、そんなことをしていたらＩＯＣの横暴 の前に開催都市の権利は皆無になってしまう。それとは別にこれが２０２４年のパリや２０２８年のロサンゼルスだったらＩＯＣが直前になって同じようなごり押しをして来たか？　アジアの東京だからこんな無理な押し付けをしてもどうにかなると高を括っての変更押し付けではなかったのだろうか。

やはりここは小池知事のように反論するところはしっかりと意見を言って納得できないことや不快感を表明する必要があったと思う。ただ時間もなくあまり長引かせると選手に不利益が生じる可能性があるのであれくらいで矛を収めて、マラソンについての新たな負担金などは東京都にかからないようにして後はＩＯＣに協力してオリンピックを成功させるというのが都知事として正当な態度だと思う。その意味で彼女は素晴らしい対応だったと思う。 そういうことから世論的にもこの決定後は小池都知事に対しての反応は悪くはなかったように思う。

それにしてもオリンピック憲章の上ＩＯＣの権力はあまりに強すぎるし、またオリンピック自体がアメリカマネーに汚染されすぎていると思う。今回、小池知事が最後っ屁のように「今後オリンピックが北半球で開催されると今回と同じ状態になるはずだ」と言うのは全くその通りで、根本的には地球温暖化の進む夏にマラソンなどを行うこと自体が間違っていると思う。７月８月にオリンピックを開催するのはアメリカの放送局の意向で決まっているが、これを根本的に改めないと今後も同様な事態が発生するのは間違いないだろう。

アメリカでは夏以外はスポーツのビッグイベントが目白押しだからアメリカの放送局がスポンサーで主導権を持っている限りオリンピックはどうしても夏に限定される 。これを改めるにはアメリカの放送局が連続してスポンサーになるのではなく、交代で日本やヨーロッパの放送局が共同で受け持つのも一つの解決法になるだろう。そうすると春や秋のオリンピック開催も可能になり、今後さらに酷くなる気候変動にも上手く対処できると思われる。 そろそろそういう事を本気で考える時期に来ているのかもしれない。