野球とベースボール

このように書くと多分分かると思うが、あまりに日本の野球が本来のベースボールとかけ離れていってしまったように思う。先日の巨人対ヤクルト戦ではまた例によって敬遠合戦の末、敬遠を指示された上原が涙を流す事態になった。私は上原のこの行為はまともな反応だと思う。
というより毎年この時期の消化試合で繰り返される敬遠合戦において、なんの疑問も持たないで一人の打者に何度もフォアボールを投げる投手の神経の方がどうかしていると思う。

最近はＢＳなどでアメリカのメジャーリーグの放映が毎日されている。メジャーではこんなことはまずないし、もしやればファンが黙ってはいないと思う。アメリカ人の性格としてチャレンジ精神が無いプレーは支持されないし、むしろ軽蔑さえされると思う。だとするとこんな詰まらないプレーが繰り返される日本の野球の根源にはファンの対応や考え方に問題があると思う。

世界中のベースボールを見回してみてもアメリカはもちろんキューバ、韓国、台湾などほとんどはパワーを前面に出したものだ。思い切りボールを投げてそれを思い切り打ち返すというプレーが主流だ。日本のようにツーストライクまでバットを振らずにフォアボールを選ぶことを強要したり、高校野球のようにバントを多用するのはあまり見ない。

どうも根本的にスポーツに対する認識に違いがあるように思う。アメリカ人など生まれつき体格が良いのに、暇さえあればウェートトレーニングをしている。時にはステロイドを使うなどの行き過ぎがあるくらいだ。もともとスポーツは頑丈な肉体が基本だという認識があるように思う。日本の場合はどうも姑息な技術の習得に走りがちな傾向があると思う。

それに高校野球がまた悪い影響を与えているように感じる。変に教育を持ちこんで野球道になってしまっている。ある時、ホームランを打った打者がガッツポーズをしたのを審判がとがめていた場面が新聞記事になっていた。これなどはあまりに日本的で苦笑ものだった。どうして日本のスポーツは管理的で自由な行動や表現を禁ずるのかよく分からない。
以前、西部ライオンズで玄米食の強制や肉食の禁止などが話題になったが、あまりに管理が強すぎるように感じる。

こういう現象はスポーツの魅力を半減させて、ファンを遠ざけることになると危惧される。現に私も最近ほとんど野球を見なくなったが、この辺の事情が大いに関係している。
格闘技やサッカー、バスケットボールなど総てにおいて、どうも日本人やチームはフィジカルな面であたり負けするが、この辺で考え直さないと世界のスポーツ界から取り残されることになるのではないか。