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電子申請作業

今回のコロナウィルスの猛威は留まるところを知らずといった感じで、特に飲食関連や観光業界は深刻なダメージを受けている。今後、コロナウィルス感染が落ち着いても相当期間被害が残っていくだろう。日本全体の経済状況もどれ程の影響を受けるのか今の段階では想像さえできない程だ。私が属する医療業界も前代未聞と言って良いほどの被害を受けている。開業して３０年近くなるがこれ程の経営的打撃は一度もなかったし、診療科にもよるがそれはもう個人の奮闘や頑張りではどうしようもない程の惨状だ。

わが医院も４月から患者数が激減していてしかもあまりに急激に事態が進行していったので、対処の方法もなかなか見つからず非常に困惑した事態に陥った。そういう時にまさに天の救いというか国や自治体から救いの手が差し伸べられてこれには非常に助けられた。それらは金額的にも大きくて経営的にも助かったが、ほとんどパソコンからの申請が可能でわざわざ役所まで出向く必要もないので、感染面でもリスクを冒さずにすむ優れたシステムだった。これらは患者数が減って診療時間に大きな空きが出来ていたので、４月から７月までは就労時間の半分以上はパソコンでの請求事務に充てていた感じだった。

具体的には持続化給付金、雇用調整助成金、家賃支援給付金の３つが金額的にはメインだが、医療従事者慰労金もボーナスを減らさざるを得なかった従業員に対して少しは助けとなった。まず持続化給付金だがこれは今まで医院経営はほとんど会計士に任せていて、私自身はほとんど無知だったことを思い知れされた。それは医療法人の確定申告書や法人事業概況説明書のチェック方法、売上台帳の見かたなどほとんど分からなかった。今までなら会計士に丸投げしていたのだが、言ってみれば今回の請求事務は史上初めてのことなので会計士も未経験で分からずにほとんど自分でするかなかった。そこでほとんどは会計士に必要資料を揃えてもらってそれらを請求フォームに記載していったが未知の領域なので結構大変だった。ただパソコンの扱いは２８才から４０年近いキャリアがあったのでその点では助けられた面も多かった。そうして申請した給付金は6月の初めには入金されてこれは額も大きく法人の経営に大きな救いになった。

次に家賃支援給付金だがこれは給付金より請求事務が複雑で少々難渋した。それというのも技術的にも給付金のようにスマホなどでJPEGの添付ファイルを作りそれを張り付けるだけでなく、契約書などはＰＤＦで一つに編集して添付する必要があったのだが、これは今まで経験のない作業だったのでソフトをダウンロードする事から取り掛かる羽目でその作業は結構手を焼いた。また大家との関係書類がいくつも必要で、中でも賃貸契約書はかなり厄介だった。これは普通はほとんどの借り手は契約を自動更新しているのだがそれではダメで、３月のある時点を契約書上で跨ぐように新たな証明書を作成してそれに大家と不動産屋の署名が求められた。他にも給付金の際には必要なかった書類をいくつか作成してこれもどうにか7月にはオンラインで請求が終わり、後は国からの修正指示を待っている段階だ。これも早晩給付金と似たような額が入金されるだろう。

雇用調整助成金だがこれは最も早期に出来上がったのだが、これは今でも国のオンラインフォームの不具合が修正されておらず、結局紙での申請となり５月には役所には提出したものの未だにまだ返事が届いていない、国のほうでもかなり手こずっている様だ。従業員に対する慰労金は申請フォームがエクセルでこれも慣れるのにしばらく時間がかかったがどうにか今月前半には申請できそうだ。そういうことでわが医院に関する様々な給付金、補助金、助成金などの請求事務が一段落したところだ。

さらに今後このような電子申請が増えることを予期して、この際だからいくつかの電子的な証明書も入手した。一つはgBizIDという主に厚生省関係の申請に有用な電子証明書、Ｊグランツこれは主に経産省が主体の電子証明書、役所全般にわたるeGov（電子政府）の証明書、また法務省の会社法人電子証明書。これらが揃っていると今後の給付金、補助金などの請求事務が簡素化されるので便利だと思う。またこれらはすべてパソコンから請求、入手できるので家に居ながらの作業でコロナの感染を考えても非常に助かった。

今思い返してみるとこの４～５か月は医者なのか労務士、行政書士なのか分からない状態だった。ほとんどは生まれて初めのの作業で不慣れな仕事だったが、これをどうにか完了できたのは一つにはそれだけこのコロナウィルによる被害がシビアでやるしかないという状況だったことと、もう一つパソコンの作業にある程度習熟していたことも貢献したと思う。これがなければ多分途中で投げ出していたかもしれない。それ程途中の段階では予期しない出来事がおこりどうして良いか分からない局面が頻発したが、ホームページ作成などでパソコンの扱いになれていたせいでその場その場での解決法がある程度分かったのが大きかった。またパソコンでの作業はある面楽しいこともあったので完結できたのかもしれない。ただ本当はこんな作業はしないで済むに越したことはなく、出来れば医師としての仕事だけに専念できるほうがベストなのだが・・・。