アメリカ大統領選

　

今年最大の国際政治での話題と言えば、火曜日に行われるアメリカ大統領選だろう。世界中で最も大国としての影響力を発揮しているアメリカのリーダーであり、しかもトランプと言うとんでもない破天荒な大統領がさらに４年間アメリカをリードしていくのか、またはバイデンという紳士的な老人が担うのかは世界中で興味をひいている事柄だろう。しかも日本にとってはアメリカの影響力は同盟国と言うこともあり経済的にも国防という面でも計り知れないほど大きい。

そもそもアメリカは二大政党制で共和党と民主党のどちらに決まるかでも日本には相当大きな変化が及んでくる。どちらかと言うと共和党のほうが日本にとっては利益が大きい状況になり易いといった議論が多いようだが、トランプ大統領の場合はそんな意見を吹っ飛ばすほどの言動を繰り返してきたので、政党の相違なんか小さな問題と考えるほどの強烈な要因を含んでいると思う。

振り返ってみると、アメリカの歴史上これほど人格的に尊敬に値しないとんでもない人物が大統領に就任した例はないと思う。初代大統領ワシントンや、リンカーン、トーマス・ジェファーソンなどの高潔な人物を持ち出さずともそれなりに人格者が多いように思う。 それに比べてトランプ大統領はセクハラ疑惑、脱税疑惑、ロシア疑惑それぞれが一つでも大統領辞任に値する大スキャンダルなのだが、どういう訳か彼の場合はそれを吹き飛ばす神通力というかパワーがあり、挙句の果てはコロナウィルスへの対応を間違えて自分自身が感染しそれで終わったかと思いきやそれらも乗り越えて元気に選挙遊説をこなしている。

その選挙だが、ちょうど一時間前に締め切られこれから様々なメディアで出口調査や解析が進んで本来なら今日の午前中には大勢が判明するはずだが、今回はどうもそうはいかないようだ。と言うのは、新型コロナウィルス流行のせいで郵便投票など期日前投票が１億票ほどありこれは全投票数の７割に当たるほどだそうだ。アメリカの場合はそれぞれの州で期日前投票の取り扱いはまるで違っていて、ある州では消印が期日内ならば数週間でも有効だし、別の州では今日までに到着しなければ無効というように規則がかなり違う。それを待っての集計だから決着がつくのが数週間先になる可能性もある。

ただ今日明日で大勢が判明すればその時点で負けたほうが敗北宣言を出して決着するのだが、このトランプの場合は敗北宣言を出さずに法廷闘争に持ち込むと言っているのでまず負けを認めることはなく、最悪の場合は一州一票の下院議会での決着まで見据えているようだ。そうなると５５人の選挙人を抱えるカルフォルニアも３名しか選挙人のいない中西部の小さな州も同じ１票なのでトランプが有利になる。

当面はフロリダ州、オハイオ州、ペンシルベニア州に注目が集まると思う。フロリダは選挙人も多くトランプはここで負けるとまず敗北だろうと言われている。前回は激戦を制してトランプがとって勢いをつけたところだ。オハイオはこれまでここで勝った候補が必ず当選しているというアノマリーを生んでいる地だ。ペンシルベニアは前回大逆転が起きたトランプ旋風を巻き起こしたラストベルトの中心地でここでもやはりトランプは負けると今回の選挙はダメだろう。

多分、今日中にはある程度の体制は判明すると思われるが、トランプがそれを受け入れるかどうか？　どうもこの大統領は人格的にも政治的にも敬意を表する人物ではないのでどんな手を使って自分の保身を図るかわからないところがある。報道ではトランプは現在、４００億円の借金がありこの選挙に落ちると国外逃亡も視野に入れている可能性があるという。あの富豪のトランプがこれほどの借金を抱えているとは意外だが、これは複数のメディアが報じているので間違いない事実のようだ。彼の場合はこれまで何度も破産しているのでこれもその一環の出来事なのかも。どちらにしろ数日すれば選挙の結果だけは白黒つきトランプが窮地に追い込まれるだろう、それが楽しみだ。