新型コロナワクチン
　

新型コロナウィルス感染症の猛威は昨年春から一年以上たっても止まるところを知らず 、発生状況の推移によっては今夏のオリンピック開催も危うい状態だ。特にインドや南米では蔓延状態と言っても良く収束にはほど遠い。ただそういう中でも地域によってはトンネルの先に光明が見えかけたところも出てきだした。と言うのも、これまで マスク装着や人混みを避けるなど防戦一方だった新型コロナウィルス対策だがワクチン接種が広まりつつあるからだ。遅ればせながら日本でもようやく今週から全国的に老人向けのワクチン接種が始まることになった。

これまで日本と比べて一桁どころか酷い地区では２桁違う患者数発生があり前代未聞の惨状を呈していたイギリスやアメリカがワクチン接種を期に感染者数も激減し社会活動も一気に活発になり、アメリカはハワイ旅行などが活発になりイギリスも海外旅行を再開できるところまで回復して来た。 また経済も急速に回復してきている。これほどワクチンの効果は絶大なわけで先進国でかなり後れをとっていた日本もこれを契機に一気に攻勢に転じる可能性が出てくることが期待される。

ただこれまでは国内生産が出来なかったせいでワクチン自体を入手することが出来なかったのが、今度はワクチンは入ってくる目途は立ってきたものの接種する人員が不足してきてそちらの問題が持ち上がってきた。そういうことで我々医療従事者も全国的に協力体制を組んで出務することになった。私の場合で言うと地区の医師会から５〜６月の２ヶ月間は各医師に一人４回の出務が割り当てられ指定会場で６５歳以上の老人に接種することが決まった。早速、今月は１６日の日曜日が当たっていて地区の体育館で接種することになっている。

それに先だってワクチン接種者自身が被接種者に感染させないことを念頭にワクチン接種を受けるようになっている。ただそれは日本中で遅れていて２回接種受けた医療従事者はまだまだ多くない。私自身も２週間前に一度接種を受けたが２回目はまだで来週の予定になっている。そもそも計画では医療従事者は既に全員２回接種受けておかないとおかしい。相当遅れていると言うことだ。ただしこれも今のワクチン輸入の状況を見ると急速に挽回するはずで、早晩医療従事者が終わり、夏くらいには老人も２回接種が終了することになるだろう。

そうなると日本の今の空気感もかなり変わってくるはずで、緊急事態宣言の出ている福岡県でも人々が安心して外出したり診療抑制のかかっている今の受診状況も改善してくることが期待される。そのためには我々医療従事者も暫くは日曜日や土曜日、水曜日の休みなども制限がかかるのは我慢してせっせとワクチン接種をするために 汗を流さざるを得ないだろう。

それにしても世界の先端にあると思われた日本の医療が感染症の分野ではこれほど世界の中で遅れていたとは！　医療従事者でさえ考えてなかったので医療関係以外の人達は夢想だにしてなかっただろう。これには日本が島国で100年前のスペイン風邪以来大規模なパンデミックに見舞われた経験が少なかったこととワクチン訴訟などで製薬会社がワクチンに手を出しずらい環境が影響していたのかもしれないが、同じ島国のイギリスがこの分野では最先端に居るのでこれもできの良くない言い訳にしか過ぎない。日本もこれを契機にパンデミックに見舞われたときに十分に対処できる体制を築き上げて行ってほしいものだ。

そういうことで待ちに待ったワクチンの接種がそろそろ日本国民にも広まってきて、日本を覆っているこの重苦しい空気が早く一掃されることを祈っているし、そのために我々もワクチン接種に精を出していきたいと思っている。