デルタ株

現在、全国的にデルタ株が猛威を振るっている。これは新型コロナウィルスの従来株と比べて２倍以上の感染力をもっていて、イスラエルやイギリスなどワクチンの効果で感染者数が驚異的に減ってきていた国々でもこのデルタ株の出現から再び感染者数がかなり増加してきている。それくらい感染力が強くまた体内でのウィルス量も従来株と比べて１０００倍くらい多いことが報告されている。

これではもう世界中でコロナウィルスに対する対処法を変えないといけないほどの質の悪い変異株と言えるだろう。春頃まではワクチン接種の進展でコロナウィルスが終息するところまで行くのではないかと思われていたが、このデルタ株の出現で 事態はそう楽観的ではないことが次第に判明しつつある。もちろんワクチンが重要な武器なのは間違いないが、それだけで簡単に終息することは難しくてこれまでの３密を避ける方策もまだしばらく続けていく必要があると思われる。

このデルタ株の出現が危機的に思えるのは集団免疫の確立ということが難しくなったことだ。学者の予測ではこれまで７割の免疫獲得で集団免疫が確立できるだろうと言われてきたのがどうもそれでは難しく９割くらいの住民が免疫を持たないと確立できないのではないだろうかという話になってきている。そもそも住民の中にはどうしてもワクチンを打ちたくない人やアレルギーなどで打つことが出来ない人が２割くらい入るのでこれはもう絶望的な数字だと思う。つまり最終的に集団免疫にまでは持って行けない可能性がある。

そうこうしているうちにブレイクスルー感染と言って、２回のワクチン接種を済ませた人達が感染する割合がかなり増えてきている。これは変異株に対してワクチン自体の効力が落ちてきているのか、もしくはワクチン接種後に上昇した抗体価が下がってきて免疫反応に影響出るくらい抗体量が少なくなって来ている可能性がある。これは今後さらにこの傾向は大きくなることが予想されて、アメリカなどで実施されている3回目接種を速やかにに実施しないとならないだろう。

さらに今後予想されていたワクチンパスポートでいろいろな施設にフリーアクセス出来るようなことは難しくなり、アメリカのスタンフォード大学やマサチューセッツ大学などが打ち出したワクチン２回接種（ワクチンパスポート）＋コロナ検査を毎週学生全員に課すような方策も必要になるかもしれない。今の状態ならこれが世界標準になることも考えられる。

このデルタ株は正式表記はB.1.617.2で、カッパ株はB.1.617.1になっている。現在、この２のあとに１がつく、B.1.617.2.1というデルタ株の変異株が出現してきている。これがウィルス学的にどのようなものなのか目下調べられているが、もしこれがこれまでのデルタ株よりもさらに悪い反応を示すことになれば事態はさらに悪化することになる。そこまで悪い方へ進む可能性はあまり大きくはないと思うが前もって準備しておくことは必要だろう。

何はともあれデルタ株の出現で暫くは窮屈な生活を強いられる状態が伸びそうだが、ワクチン接種＋３密を避ける生活で出来るだけ早くコロナ渦を脱してまたのびのびと自由な生活に戻りたいものだ。