ジャニーズとビッグモーター

　

先月も取り上げたが現在もまだジャニー喜多川氏の性加害問題が数多く報道されている。同時に多数報道されているビッグモーターとこの問題は非常に似た悪質な側面を持っていると思う。この二つの会社は報道されている問題の処理のために記者会見をおこなったが、どちらも記者や視聴者が納得を得られる会見はおこなわれずむしろ余計に多くの問題点を指摘される状態を巻き起こしている。どちらも今後の改善策にネガティブな印象を持たざるを得ないと思う。

まず第一に根本的にはどちらの組織も心底反省をしていない事が諸悪の根源で、そのために中核の部分は変えずに表面を取り繕うだけの改善策しか提示できず、ファンや関係者に出直しについて不審を持たせる結果になっていると思う。ジャニーズで言えば東山氏が社長の座についたが彼はジャニー喜多川氏の忠実な部下であり、彼を慕って模範にして芸能界を生きてきた人物で彼自身がセクハラの疑念を抱かれているしとてもこの組織を根本的に改変できる人物ではないと思う。それでも彼を次期リーダーに据えたのは実質的なオーナーであるジュリー氏に最も近い関係者で、彼女の意向どおりにこの難局を乗り切るのに最適の人物と目されたからだろう。

ビッグモーターもこの点では同じで、泉社長という前社長の最も忠実な部下であり創業時から彼の番頭的な人物に現体制の基本的な部分を変えず、表面的な乗り切りを託したいがためにこの人選になったと思う。その意味で端から猛省の上に立った根本的な改革など頭になく、どうにか現在の世間からの集中砲火を最小限の被害で避けて、ほとぼりが冷めたらまたこれまで培ったノウハウでガンガン動き回ろうという算段だろう。世間も時間の問題で次第に忘れ去ることを叩き上げの処世訓で身につけているのかも知れない。

また組織的にもこの二つの組織は同じような対策を立てていると思う。つまり退いた前社長が会社の株式を１００％保持していて、実質今後も彼等の思うように会社運営は可能だと言うことだ。ジャニーズ事務所の場合は景子ジュリー氏前社長が１００％株式保有者だから彼女の采配一つで運営はどうにでもなる。今回、東山氏がジャニーズという名前を残すことを示唆していたがこれは明らかにジュリー氏の思惑だろう。定款上も会社名の変更は株主の認証が必要だから彼女の意向だと思われる。つまり東山氏には命名に対する決定権はない。

ビッグモーターも前社長と息子の前副社長が１００％株式を保有しているから、誰が社長になろうがこの二人の意向で会社の運営はおこなわれる可能性は高い。つまり抜本的な組織の改編など必要でなくまたは万が一必要と分っていても、それは一族のためにしたくないとの考えが根底にあるから基本的には今のままの体制で運営が続いていくのだろう。

こう考えてみると、この二つの組織は驚くほど組織的な対応や思考回路が似かよっている。またどちらもそのノウハウによってこれまで上手く運営を重ねていってついには業界第一位に上り詰めた訳だから、これらの創業者から受け継いできたＤＮＡはそう簡単には変わらないだろう。今後も変わったように見せているのはあくまで表層であり、深層に横たわっている創業者の精神的屋台骨のようなものはまず変化しないと思う。もし変わるなら彼等が心底反省して株式を手放して他者に完全に運営を委ねた時だろう。