ガザ殲滅
ハマスの先制攻撃に端を発したイスラエル軍の攻撃は熾烈を極め、現在までにガザ地区では35000人の死者を数えている。
それにプラスして瓦礫の下や地下には1万人以上が埋まっているとの公式発表も出ている。いくらハマスが100人以上のイスラエル人を殺害したと言っても、あの狭いガザ地区南部に現在の空爆を含めた無慈悲な攻撃は許されるものではないだろう。これまで何があってもイスラエルを擁護してきたアメリカもさすがに武器の提供を控えること
だけは決めた様だ。それでもイスラエルはそんなことは意に返さない様で攻撃も日増しに酷くなってきている。
昨日だけでもあの人口密集した狭いガザ地区南部に爆撃機による150回の空爆を仕掛けている。
民間人の犠牲者を全く気にしないでこれほどの激烈な攻撃を仕掛けるのは他の国では許されないだろう。これは第二次世界大戦中のナチスによるホロコーストの悲劇に同情する世界世論が影響しているのではないだろうか。これまでイスラエルは他の国に特殊部隊やスパイが潜入して、標的とする人物を殺害したりしてきた。例えばミュンヘンオリンピックの時にイスラエル選手団がテロに遭い多くの犠牲者が出たことがあった。イスラエルはそれに直ちに報復を開始して、ヨーロッパの他の国に居住していたテロの首謀者や実行犯をその国に入って殺害している。これは映画「ミュンヘン」で詳細に描かれていたが、世界中からその報復劇に拍手喝采を浴びて映画も高評価を得ていた。
私もその内の一人だったがその作品のできが良かったこともあり、2時間以上の上映中は終始手に汗を握ってイスラエルによる復讐劇が成就する様に応援したものだった。ただ冷静に考えればこれは他の国に密入国して民間人を殺害するという犯罪行為のはずだ。またアイヒマンもそうだがブラジル辺りまで潜入して悪人とは言え一民間人を拉致監禁しイスラエルまで連れ去り、自国の一方的な裁判で死刑を宣告して殺してしまうという犯罪を世界に公開している。こんなことはイスラエルより他の国ではまず許されることはないだろう。やはりホロコーストに対する同情に乗ってイスラエルが好き勝手に不法行為を行ってきたと言わざるを得ない。
それに加えて何があっても徹底的にイスラエルを支えるアメリカの姿勢がこの動きを助長してきたのだろう。これまで多数のイスラエルの不法行為にたいして国連制裁をかけようという働きかけが数多く出されたが全てアメリカの拒否権のせいで葬られて日の目を見ることはなかった。今回のイスラエルの攻撃にも制裁案が出されたがやはりアメリカの反対で潰れている。その間にもガザのパレスチナ人 は35000人の死者を出してそれは今も激烈な空爆でまだ増えつつある。やはりイスラエルに対してはどうしようもないのかと世界中が無力感に包まれている状態だ。
ところが今回は新しい動きが出つつある。アメリカの多くの大学でこのイスラエルの空爆や地上軍の攻撃に対して反対のデモが捲き起こりつつあるのだ。現在、全米25州で40以上の大学で激しい抗議活動を行っているが、既にコロンビア大学の400人、UCLAの200人など2000人以上の学生が逮捕されていて、バイデン政権はイスラエル擁護の姿勢は変わってなくて、どうにかしてこのデモを鎮圧しようと躍起になっている。
これまで金融界やジャーナリズムの世界で絶大な力を持っているユダヤ人に対して好意的な感情を持っていたアメリカの大学はユダヤ人の力を利用して大学の運用を賄ってきていた。全米の大学では企業や卒業生からの巨額な寄付金をユダヤ系の企業で運用したりガザ攻撃で利益を得ている企業に投資して利益を上げてきた。これらについてアメリカの学生はそういう血に塗れた金で勉強したいと思わないという意思表示をし始めたのだ。
よく見ると、学生達が作成した投資禁止リストにはマイクロソフトやアマゾンなどの巨大IT企業も含まれていると言うからことは話はかなり大きなものになる。すでにコロンビア大学や南カリフォルニア大学ではデモの激しさから卒業式の中止を表明しているほどだ。これまでイスラエルがどれほど過激な攻撃を繰り返してもこれほどデモは捲き起こった試しはなかった。やはりユダヤ系の金融界やジャーナリズムの力で抑圧してきたからだろうが、今回はもうそういうことでは抑えきれないほど世界中がイスラエルの 常軌を逸した過剰攻撃に嫌悪感を抱いていると言うことだろう。
振り返るとナチスによるホロコーストがあまりに悲惨だったせいで世界中が同情を抱いて、これまで言わば大目に見てきたイスラエルの不法行為に対してどうも潮目が変わってきた様な気がする。やはりホロコーストはホロコースト、 ただし残虐な不法行為は許すことは出来ないという事だろう。イスラエルも自分たちが今行っている空爆などの攻撃は相手に対してはホロコーストなみの悲惨な行為なのだという自覚を持つことが必要だと思う。そうしないとイスラエル自体が今後の歴史上でナチスのような極悪な認識を持たれてしまう危険性が浮かび上がってくることになるだろう。