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政治家の傲慢さ

最近、腹立たしい政治家のニュースが続いている。一つは兵庫県の斎藤知事に関する報道でもう一つは長谷川岳参議員のものだ。この二つの報道はかなり似通っていて権力のある政治家が特権階級意識を丸出しにしてパワハラ行為を好き放題にふりまいている点で同じ問題点が内在していると思う。また二人とも政治家になる前はそれなりに人格的にも評価されていたのが政治家になり権力を手中にした途端に勘違いをして、横柄になり周囲に恐怖や迷惑をかけている点でも似ている。

まず長谷川議員の場合は昨年末まで関係者以外はほとんど知られてなかったようだが、歌手の吉幾三がSNSで発信して以来世間一般に広く知られるところとなった。それは吉幾三が飛行機内でその場に遭遇したもので長谷川議員がCAに非常に不快なほど横柄な態度でクレームや要求をしていた。それを投稿した後で吉のもとへ件のＣＡからメールが来たという。それには長谷川議員がこれまでも航空会社が閉口するくらいいろいろな迷惑行為をかけていたし、航空会社内では腫れ物に触るような対応を強いられていたことが記載されていた。長谷川の要求は数多くて自分だけ特例で枕を必ず２つ用意するようにという微に入り細に入る要求まであったらしい。

またその後で地元の北海道の札幌市職員が受けていたこれまた気分の悪くなるようなパワハラも明らかになってきた。日頃から市職員を顎で使っていて少しでも対応が遅れると強く叱責するなど強権を活動していた。そのため自分の後援会を作るように指示してそれに従わない場合の不利益を暗示までして強要していた。更に彼が今回デジタル委員会の委員長に就任した時には札幌市幹部の挨拶が遅かったとして、わざわざ東京までお祝いのために上京した市幹部に一分も会わずに帰した。これなどは自分は権力があるので市の幹部などへは何をしても許されるという思いあがった気持ちがあるからだろう。その後に判明したことでは彼は札幌市の幹部を自分の家来のようにこき使っていたらしい。

彼は大学生の時に札幌市でよさこい祭りを発案してそのリーダーとして祭りを全国に広める功績があった。その時には強いリーダーシップを発揮して人柄も評価されていた。その功績をもとに参議院議員に当選してこれまで地元北海道のために貢献してきたようだ。その時点では将来性のある若き地元北海道の政治家として期待を担っていたのだ。それが権力を手にしたらこの世は自分の好き放題に動かせると勘違いをしだして特権階級意識丸出しのいやらしい政治家になり果てたのだろう。多くの政治家が陥りやすい落とし穴に見事に嵌まったと言えよう。彼の場合は彼の個性も相まって周囲に忠告する人が居なかった、または助言を聞かなかったのが悪い循環を引き起こしたのかもしれない。

それよりさらに悪質なのが兵庫県知事の問題だ。兵庫県の斎藤知事は今回県民局長からパワハラや金銭使用の不祥事で公益通報者制度を使って告発されたが、局長は知事と県から逆に嘘をついているなどとの件でなんと3か月間の停職懲戒処分を受けた。そのため公益通報者保護法を受けられずに県から懲戒処分を受けた局長は自殺した。しかしその後に「県民局長が噓八百ついている」と知事が言っていたことがそうではなく事実にのっとった告発であることが判明して、この問題は百条委員会で検討されることになった。知事がこの委員会でどのような言い逃れをするのか興味深いところだ。

そもそも公益通報者制度で告発する先が県庁内にあること自体がおかしい。知事がトップを務める組織に自分を告発する文書が来てもそれを素直に受け取るはずがない。今回もそうだが告発者が正しいと思っていても、知事がそれは嘘八百だと断じると部下がそれに反して告発を受け取ることは日本の組織ではほとんど無理だろう。そのためか先日辞任した公益通報者委員会の主要メンバーである副知事は涙を流して自殺した元部下に弔意を表していた。ただいくら知事の睨みが効いていたとはいえ副知事が公益通報者保護制度を蔑ろにして県民局長の告発を門前払いして懲戒処分を下した罪は大きいだろう。そういう経緯の中で知事は自分の虚言で自殺者が出ているのにもかかわらず辞職する気は全く無いようだ。このメンタルの能天気な強さは政治家としてある意味敬服するが今後の百条委員会での追及をうまく逃れるかどうか。

彼の場合はパワハラも相当ひどい。ある視察で訪れたところで公用車から下りて２０メートル歩かされたとしてその担当者を酷く叱責して周囲を震え上がらせている。またある場面では個室の控室が用意されていなかったというのでこれまた強烈な叱責をかましている。さらに権力を笠に着たおねだり体質も結構酷い。２０万円のゴルフクラブや５０万円のバイクやワインなどかなり品のないおねだり行為が報道されている。どれほど思いあがったらこうなるのだろうと首を傾げたくなるが、周囲はこのパワハラ体質に何も言えなかったんだろう。遂には市役所の労働組合から辞職勧告を受けるまでになった。ただそれもここまで問題が表面化してバッシングが巻き起こったから可能になったので、もし県民局長の自殺やマスコミなどが報道しなければ真相は分かっていても労組も声を上げることは不可能だったのだろう。とは言っても、この知事の後ろには日本維新の会が控えていて彼を強力にバックアップしてし、今回の県民局長が告発をすることにもしつこく邪魔している。それが一因で自殺にまで至った経緯があるので百条委員会も維新の会の出方次第ではどうなるか疑わしい面はある。

彼の場合も官僚だった時や県庁に出向していた時はそれなりに評価されていたのが、その後知事になってから強烈なパワハラ知事へと豹変している。やはり権力というものは魔物で自分が何でも好きなことをしてもよいという特権階級意識が芽生えてからの政治家は御しがたいものがある。この二人のパワハラを目にすると人間不信になるくらいの酷さだが、よほど人間ができている政治家以外は細心の注意を払わないとこの悪の道へ踏み出す危険性が大きいということだろう。今回、この二人の政治家の目に余るパワハラに反吐が出るほどの嫌悪感を感じたが、我々一般市民は面倒でも政治家から目を離さずに、この勘違いしやすい政治家を監視する目は常に持っておく必要があると思う。