最低の大統領

やはりと言うか恐れていたことが起こったというか、トランプが大統領に就任して以来、世界中が彼の暴挙に振り回されている。金融界でも彼のトンデモ発言に一喜一憂して乱高下を繰り返しているし、世界情勢も彼の思い付きのような言動により激しい動揺を示している。彼はこれまでの大統領と比べて人格、知性、品格などすべての面において劣っているが、そればかりでなく世界情勢を 歴史的に演繹したり俯瞰する能力においても最低の大統領と言わざるを得ない。 そもそも就任後にウクライナのゼレンスキー大統領と面談した時に衆人の前で一国の大統領を罵倒したのを見て、こいつはとんでもない輩だと思ったのが初めで、その後はやることなすこと酷すぎて、これが本当にアメリカ大統領としてやっていけるのかと不安感が増してきた。

ウクライナ戦争の交渉でもプーチン大統領の言動ばかり持ち上げて、ゼレンスキー大統領のは全く寄り添う態度は示さなかった。それどころが「お前にはカードがない」と蔑んでディールばかり要求して、レアアースなどの鉱物資源を提供しなければロシアとの戦争で支援はしないと突き放した。自由主義陣営の覇者として信じられない態度だが、周りをイエスマンで固めた政府は誰もそれに反対しないし交渉も望ましい結末にはならないだろう。ゼレンスキー大統領だけでなくＥＵの首脳たちも頭を抱えていることだろう。

またトランプの反知性主義は以前からはっきりしていたが、今回はハーバード大学やコロンビア大学への助成金停止や留学生のビザ発給停止など暴挙に出た。ハーバード大学などは国からの助成金や留学生からの授業料が大学の運営資金として重要な部分を占めているが、彼のような反知性主義者はその辺り大学が一番痛い部分をついてきている。 どう見てもトランプは出来の良い学生や大学を目の敵にしているとしか思えない。出来の悪かった自分の学生時代の腹いせに見えてしまうのは私だけだろうか。ハーバード大学はこういう事態でかなりの打撃を受けるだろうが、アメリカは資産のある卒業生が 巨額の寄付金を出したりでかなり援助すると思われるのでこの難局をどうにか乗り切って欲しい。

カルファルニア州では不法移民の強制送還に関しての大規模デモ が巻き起こっている。これも全米に拡大しつつあり昨日はニューヨークでもかなりの規模のデモが発生している。そもそもデモはは民主主義国での正当な権利であり、現在起こっている暴動もそ こから派生した小競り合いに過ぎない。それを口実に大統領が州兵を動員して鎮圧に向かっているのは明らかに法律違反だ。カリフォルニア州のニューサム知事も州兵の動員は考えておらず、トランプのこの暴挙に反対し司法に訴えて既に法律違反だとの判決が出ている。トランプはそれを無視して執拗に州兵の動員を勧めている。これは明らかに自分の支持層に対してのプロパガンダで、それにプラスして次期大統領選のライバルになるニューサム知事を 前もって潰しておこうという政治的動機が根本にあるのだろう。

またアメリカ陸軍２５０周年記念の軍事パレードを３４年ぶりに自分の誕生日に合わせて挙行したことには全米中で反対デモが巻き起こっている。それはそうだろう、 大量の有能な公務員を削減するほどの緊縮財政を取っているにもかかわらず６５億円をかけてさも自分の誕生日の余興の如く開催する神経が常識外れだ。プーチン大統領や北朝鮮の金正恩のように専制国家の君主なら分かるが、自由主事国家のリーダーがすることではない。そういうことだから全米で２１００か所、５００万人が反対デモに参加する事態に発展している。それは軍の政治利用と公私混同も甚だしい軍隊の私物化に反対と言うことでNO KINGSつまり王様はいらないという主張だ。これはまともな市民なら当然の感覚だと思う。

またイーロン・マスクはトランプ大統領就任直後から政府効率化省（ＤＯＧＥ）のトップに座り、公務員の大幅な削減などで派手に動き回ってきたが、やはりこの二人が上手くいく筈はなくおたがい罵り合いの大喧嘩になった。そしてイーロンもイエスマンばかりのホワイトハウスに反旗を翻して敢然と一太刀を浴びせるかに思われたが、何か弱みでも握られたのか急速にその勢いは衰えて行ってSＮＳでトランプを攻撃したことを反省しているとまで言って争いは終息した。マスクとしては自分がテスラが反トランプ運動の標的になるのを覚悟までして行った予算削減を減税法案で意味のないものにされたという怒りがあったのだろうが、所詮トランプに刃向かうだけの力はなかったということか。

これらすべてを考えてもこのとんでもない大統領を早く引きずり降ろすことが緊急の課題だが、現在のところトランプは不法で卑怯な大統領権限を振りかざして、イエスマンを脅したり反対派には権限悪用で姑息にも抑え込んでいる。これにはＥＵや他の民主主義国がトランプを牽制する必要があるが、彼の傍若無人ぶりに恐れをなしてだんまりを決め込んでいるばかりだ。それに加えて先の銃撃事件でも明らかになったように彼は妙に悪運が強い面があるので今のところ手の打ちようがない状態だ。誰か救世主が一刻も早く現れることを願っている。