インフルエンザワクチンの怪

インフルエンザワクチンが全国的にまるで足りないようだ。このワクチンは去年の２倍以上生産されているのでそんなはずはないと思うのだが、私の場合も問屋に注文した時点で「今ごろ言われても、全然ありません」という返事だった。どうしてこんな事になったのか不思議だが何やらワールドカップのチケットのように大量の物が忽然と消えた感じだ。

あれだけ大量のワクチンが消えるはずもなく、チケットの時と同じように何がしかの理由があるはずだ。今の時点で考えられるのはまず去年のインフルエンザの大流行を目にして、ワクチン摂取者が増えることを見越した医療機関が大量に買い込んだこと。次ぎに２０００年問題で越年で仕事がある企業の診療所が社員のためにやはり大量に買い込んだこと。最後に問屋にかなりストックされているのではないか。

いくら医療機関がストックしているといっても、これほど全国的にさまざまな医療機関で足りないというのはやはり問屋あたりに止まっているとしか考えられない。止めていて納入価に変化が来るのを期待しているのだろうか。そんなスケベ心でストックしていると、ワールドカップのチケットのように最後は余って投売り状態になると思うのだけど、その時はどうするつもりなんだろうか。

それで思い出すのは１０年くらい前のことだったろうか、正月用の数の子を商社が大量に買い付けて値段を吊り上げようとしたことがあった。それは見事に成功したのだが、あまりにも値段が高騰しすぎて誰も買わなくなり商社が大損害を受けた事件があった。こんな顛末になるのではないだろうかと危惧している。それというのも医療関係者なら誰でも知っていることだが、去年今年と今までなかったインフルエンザの治療薬が相次いで承認されてきている。これは画期的なことで、やっと我々はインフルエンザの治療薬を手にしたといえる。今まではワクチンを除くと安静と栄養を取るくらいしか方法はなく、医師は仕方なしに消炎剤や２次感染用に抗生物質を処方していたが、これからはインフルエンザ自体を攻めることが出来るようになったわけだ。

このような事情だからワクチンの必要量も減ってくると思う。必然的にワクチンは余ってくることが自然だ。私にしても自分でワクチンを打つことなど考えてない。あの痛い注射をわざわざ予防のために打つ気はしない。インフルエンザに罹れば治療薬を使う予定だ。
といっても私個人について言えば余りインフルエンザに罹ることはなく、この１０年間も一度も休んだことないくらいだから、ワクチンを打つ気はしないのが当然だが、やはりハイリスクグループ（老人や子供）はワクチン接種していたほうが良いだろう。

このように考えると４〜５年先のインフルエンザの治療はかなり変化していくと思う。今年のようなワクチンの抱え込みは意味が無くなっていくだろう。今年も最終的にはかなり余剰のワクチンが発生すると思われるので、大量に抱え込んでいるそこのアナタ！早く吐き出したほうが良いと思うよ！と言っても返品が出来るらしいから、こんなこと言っても無理かな。