９年間に及ぶ女性監禁事件

日本中が驚愕するような事件が新潟で起きた。住宅地で９年間も女性を監禁して一歩も外に出さないという、アメリカの田舎などでは考えられても、この住宅が密集する日本ではまず不可能と思われる事件が判明した。この事件にはかなりの疑問があるが、突き詰めるとどうして９年間の永い間、誰にも気付かれずにこの女性を監禁できたのだろうということだ。

地域の住民や家族に気付かれずに、こんなことが可能なのだろうか。本当はうすうす気付いていたんだが、厄介になるのを危惧して知らないふりをしていたと言うことはないのだろうか。そうでも考えないと、普通の常識ではなかなか理解できない。ただし、拘束された被害者が加害者に心理的に親近感を抱くストックホルム症候群というものがあり、異常な状況では我々の常識だけで判断できないこともあるが、それにしても今回の事件はあまりにも異常な面が目につく。

そもそもこの男は９年前のこの事件を起こした時点より一年前に、小学校４年の女の子をわいせつ目的で誘拐しようとして逮捕されていた。このような幼女を対象にした犯罪は再犯率が高く、また同じ所轄の県警で起きた事件なので１年後に起きた今回の事件の際には当然リストアップされると思うが、どういう訳か１０００名に登るリストに載ってなかったという。

どうも最近の事件を見ていると、日本の警察は昔のような捜査の冴えが見られない。それどころか今回のようにミスと言っていいようなお粗末な顛末が多い。これは社会が複雑になって警察の捜査がそれに対応できてないと言うような高度な問題でなく、明らかなケアレスミスと言わざるを得ない。今回の事件も以前ならこの男の犯罪歴からすぐに逮捕されて女性もすぐに解放されていた可能性が高い。

今回の事件でもう一つ特異なのは、住宅密集地でこのような犯罪を実行するというのは普通の犯人ならまず無いだろうと言うことだ。これが盲点になって犯人が捕まらなかった可能性がある。しかし、このような幼女を狙った犯人は異常な犯人によることも多いわけで初動捜査での先入観は思わぬ失敗に繋がる危険性があると思う。

それにしても１０才から１９才までの９年間というのは、小学校４年から大学にはいるまでの期間であり、この間を社会から隔絶されていたことはその女性にとってあまりにもダメージが大きい。今後、小学校からやり直すのかどうか、解放されたばかりの今の段階はそれどころではないだろうが、いずれこの問題に直面するだろう。なんの罪もない女性がこのような理不尽な目に会ったのは、ひとえにこの男の責任でありそれ相当の刑罰を受けるべきだが、例によってまた責任能力の欠如とか何とかでどうもそうではないらしい。現に未だに病院に入院していて逮捕さえなされていない。この点は何度も言ってきたが、どうにかならないんだろうか。

いずれにせよ、この女性の社会復帰には本人も大変だろうが、周囲の協力もかなり必要になってくるだろうから、マスコミもあまり過度に追いかけないようにして、刺激的な報道は控えるべきだろう。