頑張れ! 石原知事

東京都の石原知事がまたお騒ぎ発言をしている。今回は東京に本社、支店を置く大手銀行の法人事業税を従来の所得に課税する現行税から外形標準課税に変更するというものだ。 この方式によると不良債権に利益を注ぎ込み、ほとんど税金を払ってない巨大銀行にとって、かなりの痛手になると思われる。そこからやっと回復傾向にある日本の景気に悪影響があると反対の声が大きいようだ。また、東京に本拠地を置く大手銀行のみをターゲットにしていることで税の公平性に反しているという声もあるようだ。しかし、私は今回は石原知事にがんばれと言いたい。というのは銀行には余りに甘えた体質が目立つからだ。

まず今まで銀行は給料をはっきり公開していない。これは公開すると高すぎる給料に批判が出るからだ。そのような経営をしておきながら、自分たちの不手際で不良債権を抱えたら巨額の公的資金を受けている。これはすべて我々の税金だ。その上、史上最低の金利で預金者に金利を払わないで膨大な利益を上げながら、これを不良債権に回して正当な税金を納めてない。 また公的資金を受ける条件のはずだった貸し渋りの停止は相変わらずなされてない。その上、赤字で税金を納めてないくせに配当は続けている。

さらにこのような公的資金を受けていながら、政治には巨額の政治献金を注ぎ込んでいる。そのせいばかりではないだろうが、今回、政治家は石原知事に反対し、銀行の肩を持つ発言が目立つ。国民はこんなふざけた銀行の態度にどうして腹を立てないのだろうか。前にも言ったようにどうも日本人は個人的には喧嘩もすることがあるのだろうが、国民としては怒ることを忘れてしまったように思われる。特に国や行政機関に怒るべき時ははっきりと怒りを表明しないことには、相手はますます好き勝手な施策や態度をとってくるだろう。

世界中を見渡しても政治家にとって、日本人ほど羊のように従順で扱いやすい国民はいないだろうが、どうしてこのような国民になってしまったのだろう？　ニュースを見ていても国の貧富に関わらず、世界中で国の不正や政策の失敗には国民がデモや時には暴動で怒りを表明している。もっとも暴動までやるのは賛否両論あるだろうが。
日本も戦前はそのようなことがあったように思うが、いつの間にか腑抜けになってしまった。

些細なことにいちいち目くじらを立てるのは感心しないが、やはり国民として怒るときにはちゃんと怒る、と言うことが重要ではないだろうか。お上の動向ばかりを伺って子羊のように振る舞うことは、結局は施策者にバカにされているということを認識するべきだろう。石原知事のタカ派的言動には違和感を感じることが多々あるが、今回のように官僚や政治家に迎合しない態度には好感が持てる。今回も銀行の政治資金をたっぷり注入された政治家や官僚の反対は凄まじいものがあると思うが、とにかく初志貫徹して欲しい。

今回のことでは政治家や官僚は、日本の景気を失速させる危険性を口にしているし、その可能性もないわけではないだろう。しかし、そんなことより、この閉塞した政治経済機構をうち破って、頭上の暗雲を吹き飛ばすことこそが長い目で見れば日本の将来のためになると思う。

そのためにもぜひ石原知事には頑張って欲しい。